セミナー情報

心理学専攻では、専攻内の学生や教員が自分とは異なる分野の知識を得たり、講演者の先生と直接交流をしたりする機会を持つことを目的として、外部の先生をお招きして講演していただく「慶應心理セミナー」を2022年度から不定期に開催しています。ここではこれまで開催されたセミナーの概要を紹介します。
※本セミナーは専攻内部向けの講演会です。

第04回

第4回 「Addressing the interplay of breathing and cognition in oral language」
Claudia Rodríguez-Aranda先生(トロムソ大学 教授)

日時:2023年05月30日(火)18:15~19:30
会場:三田キャンパス445教室
概要:Currently, increased interest has arisen to better understand the relationship between cognition and respiratory changes. In this lecture, a study addressing the cognition-breathing association in oral language will be presented. The study is based on approaches from neuropsychology, neuroscience and psycholinguistics. The novelty of this investigation relies on the assessment of respiratory measures during actual production of verbal tasks with varying degrees of difficulty. The methods and challenges surrounding this line of research will be covered.

第03回

第3回 「歌に惹かれ文化を伝える鳥の脳」
田中雅史先生(早稲田大学文学研究科専任講師)

日時:2023年02月02日(木)16:30~18:00
会場:三田キャンパス研究室棟AB会議室
概要:人は社会の中で様々な文化を受容し、後世に伝えることで、言語や芸術などの高度な技術を発展させてきました。文化伝達の能力をもつ動物は珍しく、霊長類でもチンパンジーなどいくつかの種で報告されているのみですが、奇妙なことに、鳥類の一部が、人の文化にも似た複雑な行動を伝えている例が知られています。特にスズメ亜目の鳥(歌鳥)は、複雑な歌をさえずることで知られ、幼少期に聞いた歌を記憶して、その後の長い練習を通して、正確に模倣する能力をもっています。また、歌鳥は、極めて社会的な動物で、幼少期には周りのおとなから育てられ、繁殖期には特定の相手と緊密な社会的結合を形成して、群れの中で多様な音声コミュニケーションを行います。さらに歌鳥は、求愛に使う歌のみならず、音楽的な刺激にも好みをもつことが明らかになってきました。本講演では歌鳥による歌の伝達とその神経メカニズムに関する最新の知見を紹介し、歌鳥の研究がどのように人の文化や美的感覚の理解に役立つか議論できればと思います。

第02回

第2回 「ジェスチャーがいかにコミュニケーションを促進するか」
喜多壮太郎先生(ウォーリック大学 教授)

日時:2022年08月29日(木)16:00~17:30
会場:三田キャンパス433教室
概要:When people speak, they often spontaneously produce gestures. Co-speech gestures can depict action, motion and shape as if to pantomime an action or to draw a sketch in the air; we call such gestures iconic gestures. How do co-speech iconic gestures contribute to communication? I will discuss experimental studies that indicate three ways in which co-speech iconic gestures can communicate. First, perhaps not surprisingly, iconic gestures can convey spatio-motoric contents to the recipient. Second, iconic gestures can bring the recipient's attention to a particular part of the physical context of communication, not unlike pointing gestures. Third, iconic gestures can change the recipient's impression of the gesture producer. More specifically, iconic gestures make the gesture producer look more competent and knowledgeable. Taken together, co-speech iconic gestures contribute to three important aspects of communication: contents, communication event, and sender-recipient relationship.

第01回

第1回 「嘘と正直さの認知神経科学」
阿部修士先生(京都大学 人と社会の未来研究院 准教授)

日時:2022年07月28日(木)16:00~17:30
会場:三田キャンパス445教室
概要:わたしたちは日々の生活の中で、嘘をつくことで利得を得られる状況にしばしば直面する。嘘をつくか正直に行動するかには、大きな個人差が存在するが、その意思決定の神経基盤は未だ明らかではない。本講演では主に、1) 正直さの個人差を規定する報酬感受性の神経基盤、2) 米国刑務所内のサイコパスにおける不正直さの特徴と神経基盤についての、講演者らによる脳機能画像研究の知見を紹介する。