公開シンポジウムの開催のお知らせ

キックオフシンポジウム「多肢選択肢における回答行動の統合的研究をめざして」

 この度、科学研究費補助金・基盤研究(A)「多肢選択肢における回答行動の統合的研究:質問紙・ウェブ調査法の設計と妥当性の検討」による援助を受けることになり、2014年1月11日慶應義塾大学「思考と行動判断の研究拠点」ならびに三田哲学会主催シンポジウム「質問紙の科学:その可能性と展望」、2015年9月24日日本心理学会大会(名古屋)にて開催されたシンポジウム「質問紙への回答行動を考える」を引き継いだ、キックオフシンポジウム「多肢選択肢における回答行動の統合的研究をめざして」を以下の要領で開催したいと考えております。ご興味のある方々のご参加をお待ちしております。

 シンポジウムに参加をご希望の方は、お手数ですが件名にシンポジウム「回答行動の統合的研究」参加希望 、本文に(1)ご氏名、(2)ご所属、(3)メールアドレス、(4)参加理由 、を記載の上、下記事務局宛にメールをお送りください。

resb.contact-group@keio.jp (@は半角に変えてください)

 なお、会場の収容人数をはるかにこえるような場合が予想されるときには、あらかじめお断りのご連絡をさせていただく場合があることをご承知おきください。

  • 日時:2016年5月28日(土曜日)14時30分より(14:15受付開始)

  • 慶應義塾大学三田キャンパス東館4階セミナー室
    慶應義塾大学三田キャンパス南校舎4F 445教室に変更になりました
    三田キャンパスのキャンパスマップはこちらをご確認下さい

  • 演者・演題・摘要
    • 坂上貴之「『多肢選択肢における回答行動の統合的研究』のねらいと本年度の計画」
       今回補助を受けることとなった基盤研究「多肢選択肢における回答行動の統合的研究:質問紙・ウェブ調査法の設計と妥当性の検討」のねらいと研究の仕組み、そして本年度の研究計画についてその概要を述べる。

    • 竹村和久「質問紙評定におけるカテゴリー判断と公理的測定論」
       本研究は、公理的測定論の観点から質問紙の評定についての 理論的考察と心理実験による検討を行う。基本的に弱順序を満たすようなカテゴリー判断は、表現定理により数量化可能である。本研究では評定においてこの弱順序を満たしているかという点や加法コンジョイント性の観点から判断を検討した。

    • 椎名乾平「Karl PearsonとThurstoneとLikert -評定尺度の黎明-」
       Likert型の評定尺度はLikert(1932)で提案されたものだが、Likertは万全の自信を持っていたわけではなさそうである。そこでLikert論文の概要を示すと共に、当時すでに存在していたThurstone流の尺度化との関係、Karl Pearsonの思想から影響、について考察し、Likert尺度の「元々の意味」を明らかにする。

    • 木村邦博「社会調査における質問と回答のメカニズム」
       社会調査に関する研究と教育の歴史を踏まえるとともに、既存データの2次分析と社会学・心理学等の知見にもとづいて、黙従傾向やキャリーオーバー効果などのメカニズムを検討する。

    • 増田真也「回答指示の非遵守者の回答傾向」
       設問にいい加減に答えるような回答者のデータは、通常は分析から除くことが目指される。しかし増田・坂上(2016)等で、こうした回答者には特有の回答傾向があり、そのことが先行研究のいくつかの結果を説明できる可能性が示された。本発表では、いわばゴミとして扱われ、分析の対象とされてこなかったようなデータが、調査結果に与える影響について論じる。

    • 山田一成「Web調査におけるVASの可能性」
       Web調査の基礎研究が進むなか、最小限化(satisficing)の弊害が議論されているが、それとともに注目されるべきは、Web調査におけるVAS(Visual Analogue Scale)の可能性である。本報告では、これまで医療看護領域の質問紙で多用されてきたVASに注目し、それがWeb調査上で利用されることで、主観的幸福感や心理的ストレスなどの測定に、新たな局面が生まれるかどうか議論する。また、このテーマに関する英語圏での研究動向についても情報提供する予定である。

    • 吉村治正「ウェブ調査におけるボランティア・バイアスの影響」
       ウェブ調査の事前登録モニターは、一般的な社会調査の回答者とどのように異なる回答行動をとるのか。これを明らかにするため、一般的な社会調査の回答者(選挙人名簿からの無作為抽出)のウェブ回答結果を提示し、これと一般的に言われるウェブ回答行動の特性とを比較する。

    • 広田すみれ「回答傾向とニューメラシー:認知的熟慮テスト(CRT)得点による違い」
       調査で極端な選択肢や中央付近の選択肢を選ぶといった回答傾向の違いが生じる説明の1つに認知負荷の大きさが挙げられることがある.教育水準やIQと回答傾向は関連するという指摘とも整合性が取れているように見えるが、では熟慮(System2)により問題を正解できる者は、直観的(System1)回答者と異なる回答傾向を持つのだろうか。地震関連研究(ウェブ調査)での回答を認知的熟慮テスト(Frederik,2005)の得点別に検討した結果を報告する。

以上





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