公開シンポジウムの開催のお知らせ

シンポジウム『質問紙の科学―質問紙調査の新しいデザインをめざして』

「多肢選択肢における回答行動の統合的研究」最終報告会


 科学研究費補助金・基盤研究(A)「多肢選択肢における回答行動の統合的研究:質問紙・ウェブ調査法の設計と妥当性の検討」は今年度が最終年となりました。これまでの研究成果を踏まえた最終報告会を、公開シンポジウムとして開催致します。ご興味のある方々のご参加をお待ちしております。

 シンポジウムに参加をご希望の方は、お手数ですがこちらのフォームよりご登録下さい。またシンポジウム終了後にキャンパス周辺ので懇親会の開催を予定しております。懇親会の詳細は決定次第、出席希望者にお知らせしますので、上のフォームより合わせてご登録下さい。


会場の収容人数を超えたため、参加登録を締め切らせて頂きました。(12/27 0:15更新)


  • 日時:2019112日(土曜日)1300分 - 17時30分  (受付開始12:30)
  • 会場:慶應義塾大学三田キャンパス東館6階 G-Lab. 
  •   (アクセスマップ  https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html )
  • 会費:無料
  • 演者・演題・摘要


椎名乾平(早稲田大学)

「評定尺度はリカートが発明したわけではない:リカート(1932)より前の世界」

1932年より前の評定尺度の使われ方を調べた.やはり,始祖はゴールトンというべきで,その後特に教育・知能関係の研究で段階尺度が使われている.ピアソンやスピアマンやソーンダイクといったビッグネームもこの範疇である.その後特筆すべきなのはスコット,W.D.による人事評価での使われ方である.スコットのスケールは第一次世界大戦中米国陸軍により有用と認められた.尚,VASもこの時代からスコットの会社で使用されていたようである.評定尺度が態度や人格研究に使われるのは,少し後の時代のようである.


竹村和久(早稲田大学)・玉利祐樹(静岡県立大学)・井出野尚(徳山大学)  

「心理尺度についての公理、計算機シミュレーション、実験による検討」

本発表では、質問紙の回答に関する公理論的アプローチによる検討、計算機シミュレーションによる検討、さらに質問紙の解析を可能にするような公理的条件の実験的条件の検討と、回答行動を表現するような数理モデルの提案を行う。


森井真広(慶應義塾大学)・坂上貴之(慶應義塾大学)・増田真也(慶應義塾大学)

WEB調査回答における眼球運動データの分析 

WEB調査への回答を想定した実験を実施し、回答中の眼球運動を分析した。実験は3つのブロックに分けられ、回答者自身の幸福度や自己評価に関する設問、7つの国旗から指定された国の国旗を選択する設問、性格検査に関わる設問がそれぞれ提示された。実験の結果、いずれの設問でも被験者の視線は設問文のエリアに集中し、その後に回答ボタンや言語ラベルに移るパターンが見られた。得られた結果を元に、回答者の回答行動の特徴についてまとめる。


椎名乾平(早稲田大学)「カーソルの軌跡からなにがわかるか? 」

カーソル移動に注目した研究は,心理学分野,HCI (Human–Computer Interaction)分野,手の運動制御分野(リーチング,目標到達課題)でほぼ独立に行われてきた.しかし,どの研究分野でもカーソル軌跡が様々な認知状態の時間軸上の変化を示す指標として機能するというコンセンサスが形成され,バラバラだった研究動向が急激に統合される方向性にあるようである.現状でのまとめを報告したい.


坂上貴之(慶應義塾大学)・森井真広(慶應義塾大学)・増田真也(慶應義塾大学)

「リカート型と異なるデザインの回答形式が持つ効果」

質問紙法でよくつかわれる回答形式に、リカート型と呼ばれる順序性をもったカテゴリー尺度がある。この形式では質問項目の増加に伴い、中間回答(5段階尺度の場合の3の選択)が増加する。本研究ではランダムに1から5までの数字が円周上に配置されるダイヤル型(数字を囲む円が順に増大、縮小する2種)、正5角形を構成する3角形5つに配置されるルーレット型の2形式をリカート型と比較し、これまでと異なる結果が得られた。


増田真也(慶應義塾大学)・坂上貴之(慶應義塾大学)・森井真広(慶應義塾大学)

Web調査における不良回答」

回答者の真の意見等を反映していない不良回答が分析に含まれると、調査結果は疑わしいものになる。本発表では、不良回答を生み出しやすい回答形式として、「あてはまるものをいくつでも」という複数回答と、同じ選択肢で回答を求める項目が複数あるときにしばしば用いられるグリッド型について、特に回答の変化という点から言及する。またこうした回答形式での不良回答を除いたり、防いだりする方法に関する研究成果をまとめる。


山田一成(東洋大学)

「公募型Web調査の可能性と課題」

公募型Web調査の有効利用にはパラデータを用いた検票が不可欠となるが、本報告では特に回答時間に注目し、検票作業の方法と要点について報告する。また、Web調査における有効利用が期待されるVASVisual Analogue Scale)について、社会科学領域での心理測定におけるVASのメリットとデメリットについて検討するとともに、VASと従来型尺度との等価性について報告する。


広田すみれ(東京都市大学)・佐藤章子(首都大学東京)

Web調査における中間選択傾向と認知能力:回答者のニューメラシーと選択肢の性質からの検討」

Web調査での中間選択傾向は、従来大きく「社会的望ましさ」のような選択肢の意味性に基づく説明と、Satisficing効果に代表される認知負荷・能力による説明が行われてきた。本報告では後者について、意思決定分野で用いられているニューメラシー尺度を用い、個人の客観的・主観的ニューメラシーの違い、及び性質は異なるが選択肢数は同一の質問(リッカート尺度/態度尺度/知識問題)でのバイアスの違いの分析結果を報告し、認知能力との関係について考察する。


木村邦博(東北大学)・上原俊介(鈴鹿医療科学大学)

「階層帰属意識の測定におけるレイアウト効果ー実験的Web調査の意義ー」

階層帰属意識の測定における選択肢レイアウトの影響を、配置方向・言語ラベル・数値ラベルの組み合わせの効果という観点から検討し、信頼性が特に低下する条件を見出した。そのメカニズムに関して、複数の仮説を検討したけれども、どの仮説も十分な説明になっているとは言えないようである。しかし、質問紙設計にあたっての実践的な示唆が得られたと言える。また、不公平感に関する質問における回答形式の影響などの研究結果と合わせて、実験的Web調査の意義を確認することができた。


吉村治正(奈良大学)

「非回答バイアスは存在しない? 失敗した社会調査の示唆するもの」

回収率を高めることが至上とされてきたのは、非回答がバイアスを生み出すからである。ところが海外の研究例を見てみると、回収率とバイアスの大きさには相関がないというのが常識になっている。これを、昨年度実施し回収率が10%ほどしか得られなかった「失敗した」調査のデータ分析から検証していきたい。


公開シンポジウム、懇親会に関する問い合わせは下記までお願いします。

お問い合わせ:

慶應義塾大学坂上貴之研究室

resb.contact-group@keio.jp 

以上